陸上自衛隊 富士総合火力演習 その①
陸上自衛隊が誇る【90式戦車】は冷戦時代、アメリカ陸軍を震え上がらせた旧ソ連最強戦車【T-80】を撃破するために作られたスーパーウエポン。FOS(射撃統制装置)に狙われたら逃れるすべはない。
『富士総合火力演習』これは1961年から毎年行われている公開訓練だ。そのスケールは、単に自衛隊と国民の触れ合いなどというレベルをはるかに越え、広く国内外のメディア、世界各国の武官を招待する自衛隊最大級の一大イベントとなっている。つまりその高い実力をアピールすることにより、無益な侵略行為を未然に防ぐという大きな役割を成しており、その目的にたがわぬ空前の規模となっている。戦車約60両、大型火砲約40門、航空機約20機、その他戦闘車両約400両、陸自隊員約2千人、実弾約40トン。しかも今回は近年問題となっている離島防衛を想定した訓練として陸自最強の第一空挺団などのヘリ降下急襲訓練なども行われた。
今ほど自衛隊に関心が集まっている年はないかもしれない。世界で頻発するテロ事件。北朝鮮によるいまだ解決しない拉致、工作員、核、弾道ミサイル問題。中国による尖閣、沖ノ鳥島への干渉、東シナ海ガス田問題。お隣の韓国の竹島侵略。多くの人々が「もしや…」という思いを「まさか…」という言葉でごまかしながら日々の生活を送っているのだ。
そんな世情を反映してか、静岡県御殿場市にある東富士演習場の仮設スタンドには、全国から約3万人の人々が押し寄せた。会場は通路にまで人があふれ立錐の余地もない状態。しかもこの演習のチケットを手に入れるには高倍率の抽選に当たらなければならず、ネットオークションでも高値がつくほどのプラチナチケットとなった。一体全国でどれほどの人々がこの演習を見たがっているのか見当もつかない。
演習は、上陸してきた敵部隊を想定し、陸自の各部隊が協力し合い、発見、迎撃、壊滅と実践さながらの戦闘訓練を行う。そこで明らかになる自衛隊の実力とは?会場を埋め尽くす大観衆の「もしや…」という不安に答えることができるのか?「まさか…」では済まされない漢(おとこ)たちの演習という名の熱いバトルが今始まろうとしている!
【その②につづく】